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海水の侵入を防いできたのは、長さ約200キロメートルの砂丘と全長400キロメートルに及ぶ堤防です。
オランダは「デルタ計画」と呼ばれる国家計画により、これらを注意深く維持管理して国土を守ってきました。
19521年1月31日から2月1日にかけて襲来した「オランダオルヵン」と呼ばれる低気圧の強風が、オランダ南西部に高潮を引き起こしました。
死者は千8百人に達し、16万ヘクタールが冠水しました。
この高潮被害を契機に、オランダは、デルタ計画をさらに強力に進めてきました。
1960年のデルタ計画では、堤防維持のための案を作る際に、海面上昇の割合を百年間に20センチと決定していました。
その後の2年間の状況では、この決定が妥当であったことが分かります。
ルイジアナ州のミシシッピ川の河口の沖合に、ラックーン島と呼ばれる長さ21マイルの島があります。
この島は、高波にともなう海水の流入を防いで、海岸の湿地帯を海から守っています。
1992年8月に襲来したハリケーン.アンドリュウの高潮や高波のために、この島の半分が削られてしまったのです。
ラックーン島の例のように、海岸浸食や地盤沈下が影響した。
地球温暖化による水位上昇が懸念されるので、この設計基準を変更して国士を守る事業に取りかからねばなりません。
国際会議でこの問題を紹介したデルフトエ科大学の海岸工学の教授は、国際的な応援を切望していました。
米国の大西洋岸やメキシコ湾岸では海岸浸食が進んでいますので、高潮に対する防御能力も著しく低下しています。
これに加えて、海面上昇とハリケーンの勢力激化は、これらの海岸を深刻な危険状態に陥れています。
特に、ミシシッピ川のデルタ地帯で大きい沈下が起こっていて、ルイジアナ州では過去百年間に沈下が90センチに達しています。
その原因は、洪水制御や船の航行確保のために堤防が整備されて、以前デルタ地帯に運ばれていた土砂が湾内の深い海中へ流れるようになった。
現在では、毎年約100平方キロメートルの割合でデルタ地帯が失われていると算定さ1959年9月26日の「伊勢湾台風」は、伊勢湾での高潮を引き起こしました。
名古屋港で5.15メートルの高潮となり、死者と行方不明が5千人にのぼり、公共物の被害だけでも5千3百億円に達し、戦後最大の被害となりました。
わが国の海岸線の約半分は、1953年に制定された海岸法によって保全区域に指定されています。
その総延長は、15000キロメートル以上に及びますから、50センチ程度の海面水位上昇に備えた保全工事費は、数千億円ではすまないと考えられています。
暖化にともなう海面上昇やハリケーンの襲来により助長されることは明らかです。
21世紀の半ばに、地球温暖化によって地球全体として約50センチの海面上昇が予測されています。
この海面上昇は世界各地で1様に起こるのではなく、地域によってかなり差異があります。
スカンジナビアでは地盤が大きく隆起していますから、海面は相対的に低下しています。
1方、上に述べたように、米国の東岸からメキシコ湾岸にかけては、逆に大きい地盤沈下が起こっています。
日本については、今世紀の初めから1950年代までに約5センチの海面水位上昇がありました。
その後は下降に転じて、現在は1920年とほぼ同じレベルです。
日本での変化が地盤の隆起によって生じたのか、それとも海流の変化も影響しているのか、まだ分かっていません。
1950年以前のように、再び海面水位が上昇に転じて高潮の脅威が増える可能性は、否定できません。
海水の水位が1センチ上昇すると砂浜はおおよそ1メートル後退します。
また、水位が10センチ上昇すると、河口の海水と淡水の境界が1キロメートルも上流へ移動します。
その際に、さらに海水が淡水の下に潜り込みますから、海水はもっと上流へ侵入します。
その結果、淡水に塩分が混じって、生態系に打撃を与えることは必至です。
米国の環境保護庁では、1メートルの海面水位上昇による米国の海岸被害の防止のために必要な費用は、約1000億ドルに達すると見積っています。
日本の場合も1兆円に近い予算が必要となると思われます。
二酸化炭素など温室効果気体を多量に排出してきた先進諸国は、世界的な海面上昇に責任があるので、自国の海岸防衛のみならず、モルディブなどの途上国の国土防衛のために必要な経費を負担すべきだとの意見が有力です。
これらの費用を、先進国の国民は負担することを考えねばなりません。
地球温暖化にともなって予想される高潮の激化は、地球環境の重大課題の1現在の大気には、二酸化炭素はわずかに約0.03%しか含まれていません。
化石燃料の消費に起因するその増加は、温室効果気体の中でも最も注目されています。
現在、懸念されている地球温暖化の最大の原因は、石炭.石油や天然ガスの消費による二酸化炭素の増加です。
化石燃料の燃焼の際に出ている二酸化炭素のうち、かなり多量のものの行方が分かっていないのです。
これが温暖化予測の最大の「不確かさ」の1つであり、化石燃料消費の抑制に反対するための理由として、米国のブッシュ前大統領が取り上げたことでした。
植物は、炭酸同化作用で大気中の二酸化炭素を吸収し、また、呼吸や落葉などの腐食の際I36大気中の二酸化炭素量を左右しているのは、@人間による化石燃料の燃焼A大気と生物圏との間の交換B海洋の吸収に、二酸化炭素を大気中へ出しています。
このように、大気中の二酸化炭素量は植物と密接に関係し、変化しています。
二酸化炭素は水に溶けやすいものですから、大気中の二酸化炭素が海水に吸収されたり、場合によっては海水から大気へ排出されたりしています。
このように、海洋は、大気中の二酸化炭素量の変化に大きく影響しています。
多くの学者がこれらの要因を算定しようと試みてきましたが、化石燃料の消費によって大気へ排出された二酸化炭素のうち、約30%がどこで吸収されているのか、行方を突き止めることができていません。
このことは、「行方不明の吸収源」の問題として多くの関心を集めています。
海水への溶解分がもっと多いはずだという意見や、森林などの生物圏が予想外に多く吸収しているだろうという考えなど、種々の意見が飛び交ったのですが、まだ、「行方不明の吸収源」は見つかっていません。
大気中の二酸化炭素は地球温暖化の元凶として注目されていますが、その連続的な精密測定は、1957年の国際地球観測年に、米国のカリフォルニアエ科大学のチャールズ.キーリングという若い科学者の手により、ハワイ島のマウナ.ロア山の中腹で始められました。
都会の近くでは、自動車や工場から出るガスのために、地球全体を代表するデータが得られそうにありません。
これらの局地的な影響を避けるためにハワイ島の山が選ばれたのです。
マウナ.ロア観測所での大気中の二酸化炭素データは、3〜4月に多く8〜9月に少ないという規則正しい季節変化をしていますが、この変化は、植物の炭酸同化作用と呼吸作用の季節変化を反映したものです。
暖候期には、盛んな炭酸同化作用のため、多くの二酸化炭素を吸収しますから、大気中の二酸化炭素は少なくなります。
一方、寒候期では、植物の呼吸作用の影響が卓越して、二酸化炭素の排出が増えるので、大気中の二酸化炭素が多くなるのです。
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